働き方図鑑:現役キャリアアドバイザーのお仕事  ~企業と求職者の架け橋~

本「働き方図鑑」シリーズでは、「あなたの当たり前は他人の学び」をテーマに、様々な職業の方、様々なキャリアを重ねてきた方の働き方に焦点をあて、隣の誰かがどのような仕事にどのような思いで取り組んでいるかを紹介いたします。今回のゲストは、キャリア支援の現場でキャリアアドバイザーとして活躍されるTさんです。転職希望者を企業とつなぐ架け橋として働くTさんの仕事の魅力や課題をお聞きしました。

注)本記事は個人の経験・見解であり、特定の企業・組織の公式見解ではありません

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働き方図鑑 キャリア

働き方図鑑:キャリアアドバイザーという仕事


Tさんの原点

今でこそポジティブに前向きに人生歩めているTさんですが、かつて自分のことが嫌いだし、自信が持てなかったそうです。Tさんは語ります。「中学生のころ、自分に自信が持てなかった時期がありました。でも、先生の一言がきっかけで自主学習ノートを始めたところ、気が付くと50冊のノートを作り、学年トップになれた経験が私の原点です。その時、人にはそれぞれ輝く可能性があると気づきました。」

大学卒業後は人材派遣会社で働き、転職希望者と接する中でキャリアアドバイザーとしての道を歩む決意を固めます。学習塾でずっと働いていたこともあり、最初は塾業界に進もうと思ったそうですが、塾長の一言で内定全部辞退

 「社会に出て活躍しようとしている子供たちに社会を教えれる大人になれ!」

 いろんな人のキャリアを見れると思い、人材会社に就職しました。「環境や他人のせいで自分の可能性を諦めている人が多いと感じました。そんな人たちが羽ばたけるきっかけを作りたいと思ったんです。」

このような原体験が、彼のキャリアアドバイザーとしての信念を形成しています。自分の過去の苦労を糧に、多くの人々の可能性を引き出すお手伝いをする姿勢は、情熱があるから出来ることです。お話をお伺いすると、仕事の時間は転職希望者が本業に関わらない夜や週末が多いということでした。


なぜキャリアアドバイザーを選んだのか?

Tさんがキャリアアドバイザーの仕事を選んだ理由は、転職希望者の人生を支える意義にあります。「自分がかかわることで、その人の未来が良い方向に進む瞬間を見るのは格別です。」

特に印象深いエピソードとして、25歳の女性の成功事例を挙げてくださいました。「その方はアルバイト経験しかなく、夢は東京でケーキ屋さんを持つことでした。一緒に自己分析をし、食品会社の内定を勝ち取ったとき、『これなら将来の夢が叶う』と喜んでくれたことは忘れられません。」この相談者の女性は、内定をもらった時に大手の事務職と食品会社とで悩み、大手の方がいいかな?と思っておられたそうです。しかし、Tさんは相談者さんの原点に立ち返り、次につながる仕事はどっち?と本人の気持ちを確かめたのだそうです。結果、ケーキ屋さんを持つという夢を思い出した女性は、食品会社に就職し、数年後、店長にまでなることが出来たとTさんに連絡をくれました。

こうした成功体験は、Tさんにとってのモチベーションそのものであり、この仕事の大きな魅力といえます。


キャリアアドバイザーの仕事内容

キャリアアドバイザーの仕事は非常に多岐にわたりますが、その中心には、求職者と企業の双方に寄り添い、適切なマッチングを実現するという目的があります。この仕事には、求職者のキャリア形成を支援する役割と、企業が求める人材を確保する手助けをする役割が含まれています。

キャリアアドバイザーとしての第一歩は、求職者との初回面談です。この段階では、求職者のスキルや経験、そしてキャリアに対する価値観や希望条件を深くヒアリングします。求職者がどのような仕事を求めているのか、どのような環境で働きたいのか、さらにはキャリアを通じて何を実現したいのかといった点を丁寧に聞き出すことが重要です。未経験の業界に挑戦したいという求職者の場合、過去の経験やスキルをどのように新しい業界に転用できるのかを一緒に考え、具体的なキャリアプランを提案します。求職者自身が自分の可能性を新たに発見する瞬間に立ち会うことは、キャリアアドバイザーの仕事の中でも特にやりがいを感じる場面の一つです。

求人情報の紹介もキャリアアドバイザーの重要な業務の一つです。求職者の希望条件や適性を基に、最適な求人を選定し、企業の特徴や魅力、さらには注意すべき点についても詳しく説明します。このプロセスには、求人情報をただ提供するだけでなく、それを求職者にとってどのような価値があるかを具体的に伝える役割が含まれます。例えば、「転勤がない職場を希望する」という条件を持つ求職者に対し、地方企業の求人を提案し、求職者のライフスタイルに適した選択肢を提示するなどの工夫が必要です。このように、求人情報を単なるデータではなく、求職者にとっての可能性として提供することが求められます。

次に、面接対策についてです。面接は転職活動の中で最も重要なステップの一つであり、キャリアアドバイザーのサポートが非常に大きな意味を持ちます。具体的には、履歴書や職務経歴書の添削を行い、求職者が自身の強みを適切にアピールできるようにアドバイスします。また、模擬面接を通じて、求職者が実際の面接でどのように振る舞えばよいかを練習する機会を提供します。過去に面接で失敗した経験がある求職者に対しては、失敗の原因を一緒に分析し、それを改善するための具体的なアクションプランを考えます。このような細やかなサポートを通じて、求職者が自信を持って面接に臨むことができるようにします。

キャリアアドバイザーのもう一つの重要な役割は、企業との連絡調整です。面接の日程を調整したり、選考結果をフォローアップしたりすることで、求職者と企業の間にスムーズなコミュニケーションが取れるようにします。ときには、企業側の要求と求職者の希望が一致しないケースもありますが、そのような状況でも双方が納得できる解決策を模索するのがキャリアアドバイザーの腕の見せどころです。企業との信頼関係を築きながら、求職者にとっても最善の結果を引き出すことが求められます。

内定後のフォローも、キャリアアドバイザーの大切な仕事の一部です。新しい職場に不安を抱える求職者に対し、職場環境や仕事内容に関する詳細な情報を提供することで、その不安を解消します。また、将来のキャリアパスについても一緒に考えることで、入社後のモチベーションを高めるサポートを行います。このようなフォローアップを通じて、求職者が新しい職場で成功を収めるための土台を作ります。

※リクルーティングアドバイザー

現場によっては…(体制は組織により異なる)求職者を対象に転職相談にのるキャリアアドバイザーのほかに、採用のコンサルティングや選考をサポートする役割を担う法人担当者も存在します。求職者担当と法人担当を分けることで、求職者側、雇う側のどちらか一方に偏らない対応を心掛けています。

キャリアアドバイザーの魅力と大変さ

キャリアアドバイザーの仕事には、求職者の人生に深く関わり、その未来を支えるという大きな意義があります。たとえば、求職者から「あなたのおかげで人生が変わった」と感謝される瞬間は、この仕事ならではの喜びと言えるでしょう。また、多様なバックグラウンドを持つ求職者との出会いは、自分自身の視野を広げるきっかけになります。それぞれの価値観や目標に触れることで、人間的な成長を実感できるのも魅力の一つです。さらに、キャリアアドバイザーとしての経験は、自身のキャリアアップにもつながります。企業の人事部門や独立してコーチング業を行うなど、幅広い選択肢が広がる点も大きなメリットです。

一方で、キャリアアドバイザーには大変な側面もあります。まず、求職者ごとの価値観や状況に合わせた柔軟な対応が求められるため、多様な悩みに向き合う負担は小さくありません。自分の価値観や経験が通用しない場面では、常に新しいアプローチを模索する必要があります。また、求職者の不安やストレスに寄り添う「感情労働」の側面もあり、精神的な負担を感じることも少なくありません。1日3~4人、週に10~15人の求職者と面談を行う中で、寄り添い続けることの難しさを感じることもあるでしょう。

さらに、企業と求職者のニーズを調整する役割は非常に繊細です。双方の満足を得るマッチングを実現するのは容易ではなく、行きたい企業から不採用通知が来る場面では、求職者を励ます必要があります。また、求人市場の変化にも迅速に対応する必要があります。求人が激減したり、求職者の希望条件が大きく変化する状況では、柔軟な対応力と学び続ける姿勢が求められます。

キャリアアドバイザーの仕事は、人の人生を支えるやりがいがある一方で、多くの挑戦も伴います。この魅力と大変さの両面を乗り越えることが、アドバイザーとしての成長と成功につながるのです。


キャリアアドバイザーとキャリアコンサルタントの違い

キャリアアドバイザーとキャリアコンサルタントはどちらもキャリア支援を行いますが、その目的とアプローチには大きな違いがあります。キャリアアドバイザーは、短期的な転職活動の成功を主な目標としており、人材紹介会社を拠点に活動します。彼らは求職者と企業の橋渡し役として、求職者の希望条件やスキルを基に最適な求人を提案し、転職プロセスをサポートします。その一方で、キャリアコンサルタントは個人のキャリア形成全体を支援する役割を果たします。彼らは求職者の自己理解を深め、長期的なキャリアプランを策定する手助けをします。

キャリアアドバイザーの活動は、特に転職市場でのスピーディな対応が求められる場面に特化しています。例えば、短期間での採用が必要な企業に対し、求職者の適性を迅速に見極め、即戦力となる人材を提案することが求められます。また、企業と求職者の双方のニーズをバランスよく満たすための調整力も重要です。一方で、キャリアコンサルタントはより長期的な視点で相談者と向き合います。キャリアアンカーや価値観の深掘りを通じて、相談者が自身のキャリアの方向性を見出す手助けをするのが彼らの主な役割です。このため、キャリアコンサルタントは中立的な立場から相談者の利益を最優先に考え、営利目的に縛られることなく活動します。

Tさんは、キャリアアドバイザーとキャリアコンサルタントの両方の視点を持つことが、自身の仕事における大きな強みであると考えています。彼は「短期的な目標達成と長期的なキャリア形成、どちらも支援できることで、求職者の多様なニーズに応えることができる」と語ります。この柔軟なアプローチは、転職市場の多様化が進む中で、ますます重要になるでしょう。


未来像とメッセージ

「AIが進化する中で、キャリアアドバイザーの役割も変わるでしょう。しかし、人の感情や価値観に寄り添う部分は、人にしかできないと信じています。」Tさんは、技術革新が進む中での対人支援業の可能性にも注目しています。「AIのサポートで効率化が進む一方、人が提供するパーソナルなアプローチはこれからも重要です。」

彼はまた、キャリアアドバイザーとしての未来像について、「これからは求職者一人ひとりの価値観や人生観に深く寄り添うことで、よりパーソナライズされた支援が求められる時代になる」と述べています。このようなビジョンのもと、Tさんはこれからも多くの求職者の人生に寄り添っていくことでしょう。

最後に、これからキャリアアドバイザーを目指す人に向けたメッセージです。「人の可能性を信じ抜き、その人らしい人生を歩むお手伝いをすることは、本当にやりがいのある仕事です。ぜひチャレンジしてください。」


キャリアアドバイザーという職業は、単なる転職支援にとどまらず、人生を導く重要な役割を果たしています。Tさんの言葉を通じて、この仕事の奥深さとやりがいを感じていただけたでしょうか?次回の「働き方図鑑」もどうぞお楽しみに!

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